病院へ行こう

=3=


 「あっしはねぇ、てっきり処置して包帯ぐるぐる巻きのこの足は退院するまでずっとこのままかと思っていたんでやんすよ〜」

うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ








 朝目覚めると見慣れぬ天井の景色に一瞬ここはどぉ〜こ?私はだぁ〜れ?状態に陥るオレ。あっ!そうだった・・・と同時に、前日の悪夢のようなできごとが走馬灯の如く頭の中で蘇ってくる。

そうだっただぁ〜〜〜〜〜

おら、やっちまっただぁ〜〜〜〜〜

 まぁ、やっちまったものは仕方がない。過ぎた事をいつまでもくよくよしてもきりがない。そうだ!何事も前向き前向き、ポジティブにいこう!果報は寝て待て!そうそう、文字通り寝ているだけでいいんだもんね〜・・・

楽勝!

 どこまでも楽天家なオレ・・・

 この後、迫り来るスリルとサスペンス、地獄に恐怖に痛みに涙に絶叫に・・・
知らぬが仏とはオレのことかも・・・。

 さて、生まれて初めての入院生活”初夜”も不本意ながらぐっすりと眠れた。
 AM6時に叩き起こされ「検温」から病院生活が始まった。
 まだまだ不慣れな病院生活。”流れ”というものが全くわかってない。
 検温の次はなんだろう・・・?

 飯であった。Breakfirst〜♪

ちなみに、Break−through.....は、.....(-_-;)

 朝食後、特にやることもなくベッドの上でボケボケを決めこんでいた。
 ちなみに自分の今の状態は、絶対にベッドから出てはいけないというものではなかった。車椅子での移動は可能ならば好き勝手してもいいみたいだった。故にWCでの用足し「大」も自分で車椅子に乗って行っていた。「小」もやはり”尿瓶”というものには不慣れだったのでWCへ行っていた。


 あぁ、今頃仕事の方はどうなってるのだろう・・・。
 その頃はまだ確定していなかった愛車の安否・・・直るかなぁ・・・。
 ここにいつまでいることになるんだろう・・・等々、様々なことが今空を流れていく雲のように次から次に浮かんでは消え浮かんでは消えを繰り返していく。

 そんなのんびりムード、ボケボケムード全開の空気を打ち破り、悪夢は突然やって来た。

・・・あれを悪夢といわずになんと言おう・・・ってくらいのもの・・・

 ・・・カラカラカラ・・・

 何やら銀色の台車を押して、看護婦さんがにこやかにやってきた。

 は〜い、回診ですよ〜

 え?え?回診・・・?何するんだろう・・・
 もちろん先生が各患者の容態を確認・処置していくわけだが・・・。

 で、オレの番が来た。
 看護婦さんがおもむろにオレの足の包帯をぐるぐると外し始めた。
 あらあらあら・・・見る間に全て剥ぎ取られ、傷口が剥き出し状態に。

 見ちゃいやぁ〜〜ん…恥ずかしいっ(うふっ)

 はい、冗談言っていられるのもここまでよ。

 「ほぉ〜、昨日入ってきた患者さんね。これから傷口を消毒するから・・・」

 と言うが早いか先生、ピンセットに脱脂綿を摘んで、おもむろにオレの傷口をゴシゴシやり始めた。
 た、た、たしか、そこいら一帯は皮がズルムケ状態だったのでは・・・?!
 で、冒頭の。。。

うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 。。。となったわけである。
 先生はそんなことには容赦なかった。

 「あらまぁ、こんなところにタイヤ痕が残ってるなぁ。落としておかないと雑菌が入るから・・・」

 でまた、ゴシゴシ〜・・・
 いやまさに先生の顔が「鬼畜生」に見えたことは言うまでもない。
 いっそ、また麻酔打ってくでぇぇぇぇ・・・願わずにはいられなかったりして・・・
 さもなくば、いっそ一思いに殺ってくでぇぇぇぇ・・・


 拷問は終わった・・・。
 もし本当にそれが拷問だったら、オレは迷うことなく全てを白状してしまうだろう。それくらいのものであった。
 オレは思う。先生は「S」だな、あれは・・・。口元に浮かぶ笑みをオレは見逃さなかった・・・(大嘘)

 「はい、終わり。また明日ね〜♪」

 「あ、あ、あしたもっすかぁ〜?!」

 「おーよ。これからずっと毎日よん(はぁと)」

  「・・・・・・・・・・・・・・・・(-_-;)」

 去り際に先生の口元の笑みをオレは見逃さなかった・・・(だから大嘘だってば!)

 ・・・カラカラカラ・・・
 銀色に怪しく光る台車は、笑顔キラキラな看護婦さんと共に無気味な音を残して次の部屋へと獲物を求めて去っていった。
 ・・・ほらまた、どこかの部屋から絶叫が聞こえてくる・・・


うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

......\( ><)シぎょぇぇぇ






そこはまるで生き地獄のようじゃった・・・





つづく
'02,2,12up
written by cow-boy


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