ミニバイクレース参戦記
『モトカップ3耐』Jr参戦2戦目。。。の巻


03年10月26日 天気:晴れ
湯河原シーサイドGPにて。。。

== 1 ==


 「う〜、ぶるぶる・・・。しばれるのぅ・・・」
 まだまだ夜の帳は下りたまんま。
 東の空に朝の気配が漂ってはいますが、それでもまだまだ薄暗く・・・。
 そんな中、ピクニックテーブルの上で一人ゴソゴソとブレーキキャリパーのオーバーホール作業に励む私。これは言ってみれば私の宿題です。提出期限は今日の午前9時?間に合わなかったなら赤点・落第決定!...なんて生易しいものではありません。そりゃもうエライこっちゃになってしまいます。ブレーキ無しでレースしろっちゅーことになるわけで...。ん?それならそれで結構な戦績も期待できるかな?(爆)
 だだっ広い駐車場=パドック内を見渡すと、私より先着は一人いました。既にタープ張って椅子やらテーブルを並べてピットスペース確保していました。私も遅れじとテーブルやら椅子やらクーラーボックスを並べピットスペース確保。そこでみんなが来るまでの間になるべく作業を進めておこう、到着早々作業に励んでいたわけです。と本来なら2時間くらいの仮眠を取るつもりだったのですが・・・。

 そもそも何故にそんな早朝に前夜から不眠でサーキット入りしなければいけなかったのか?まぁそれは身から出た錆びとでも言いましょうか、苦肉の策に他ありませんでした。
 ちなみに今回のチーム体制やら編成、ここまでの経緯などについてはその都度書き記していた『ダンシング・レーシング 〜ミニバイクレース参戦記〜』をご覧頂けると話が早いのですが、この本番前最後の練習走行の終了時に2号車(通称:魔ッハ号)のフロントブレーキキャリパーのオーバーホール(以後、O/H)依頼...というか止せばいいのに私がお節介にもやりましょか?と申し出てしまったものだからその後のドタバタに火を注ぐ結果となったわけです。とりあえずその場でFブレーキをアッセンブリーで取り外し、Fブレーキ関連のみ私が持ち帰ったわけです。
 とにかく期間は一週間しかないわけです。「間に合いませんでした」は許されません。翌日月曜日、仕事の合間?にキャリパーをバラし始めました。まぁ相手は最新ビッグバイクのようなピストンが6個もあるような代物とは違い、たかだか片押し2ポットです。朝飯前とたかを括っていましたが、それが結局自分で自分の首を締める原因その1となったのです。しなみに「その1」ということは「その2」も存在するわけでして、それがこの早朝不眠作業の原因となったまさにそのものでした。それはまた後ほど。

 さてこのブレーキキャリパーで何故に自分で自分の首を絞めるハメになったか...ここいらへんの経緯も「参戦記」には詳細に書き記しているのでここでは割愛しますが、簡単に言うと本来スムーズに動かなくてはいけない個所がそうでなく、むしろスムーズという以前に”全く動かなかった”のです。固まってました。もう何をやってもこの頑固者は微動だにしなかったのです。叩こうが縛ろうがローソク垂らそうが(違!)。しまいにはバイク屋さんにヘルプ求めて掛け込んだのですがそこでもお手上げでした。むしろ例えまかりなりにも外れるような事があったとしても、それをそのまま使い回しにはしない方がいいよとも言われました。私もそれは勿論考えましたが、しかし新品パーツを導入するには資金の問題がありますし、ましてや他人のバイクですから私が判断できるはずもなく...。と、そんなわけで日頃からなにかと世話になっている某所のオークション。ここでギリギリ今週末までに間に合う、それでいて安価な出物の物色を始めました。と同時にマシンの持ち主にことの経緯と結論を報告した上での了承を得たその時点で水曜日。見つけた商品は木曜夜10時落札。頭の中にあれこれシナリオを描いていました。

 木曜夜10時落札だろ...。落札したら出品者に訳を話して特急手配をお願いしよう。翌日金曜日のなるべく早い時間で間違いなく発送してもらう。するってぇとこのご時世の宅配便は大概の所だったらその翌日土曜日着はできるだろう。むしろそうできなかったならその宅配業者はペケだっ!...などと勝手なストーリーを自分勝手に作ってました。「大丈夫。これでいけるいける!」なんて思いとは裏腹に「絵に描いた餅にならなければいいんだけど...。」
 土曜日中に品物が到着してくれさえすれば、あとはどうとでもなる!
 私がターゲットに定めた品物を某オークションの画像で見る限りでは、ん〜、なんとなく怪しいような気もしましたが、でも固着したコレよりはまだマシなハズ?!と勝手な解釈をして「コレ以下はこの世には存在しない!」という判断の元「その時」をジッと待ち構えていました。
 で、「その時」の結果は、勿論ゲッチュー。
 もうねメールでのやり取りなんかじゃ間に合わない。記載のあった携帯電話へ速攻電話して、再度こちらの事情を説明し了承してもらい、翌日間違いなく発送することの確約を貰い...。時間帯指定は午前中でよろしくと付け加えておきました。ふぅ〜、あとはその私のシナリオ通りに事が運んでくれるのを祈るばかりでした。

 あれれ?これでは「その1」だけで済んでしまうではないですか?
 ははは、ホントこれだけで済んでしまったならどんなにかこの後の展開が楽だったことでしょう。ホントにもう...。
 はい、しっかりと”自分で自分の首を絞める原因「その2」”はしっかりと存在しているわけですよ。しかしその時にはまさに想像だにしていませんでしたが。

 とにかくこの日、事前準備の最終局面を迎えるというものの私自身はあっちこっちからの横ヤリ立てヤリ斜めヤリ...。またここでも私自身の勝手なシナリオがまかり通っているわけです。というかそうするしかなかったわけです。選択の余地なーし。3つの通らなくてはならない避けて通れないチェックポイントがありました。1、午前中は例のキャリパー受取ること。2、仕事の重要なアポが午後一であること(それ以外はさほどでもないのでブッチブッチ 爆)。そして3が極め付け、自分で自分の首を絞める原因その2に他ならないのでした。
 その3...。小さな親切大きなお世話?うちのバァさまが、その時代々木競技場でやっていたイベント「じゅらしっくぱーく なんたらツアー」のチケットが懸賞で当たったから、あんたたまには家族孝行せー!と.....チケットが手元に。おまけに開催日程は翌日曜日まで。ん?日曜日?レース決勝やん。ということは土曜しかなひ...。子らは行きたがっているし...これはやはり無理矢理にでも予定入れない事には後々恨まれそうだ...ということでつじつまが合わない支離滅裂な三文ドラマの脚本家となった次第です。

 そのドラマとは.....。
 まず土曜日の午前中に必ず届くと信じている品物を自宅で受取り、そのままそのキャリパーを持って速攻で仕事のアポへと赴き、恐らくそんな用はすぐ終わるであろうから(笑)終わり次第会社で仕事そっちのけでキャリパーO/Hへ取り掛ろう。ちなみに例の「じゅらしっくぱーく なんたらツアー」の件は、午後6時にカミさんが子らを引き連れて会社最寄の駅まで来てそこで落ち合って代々木競技場へ行こうという段取り。だから午後6時がデッドライン。多分仕事絡みでの帰社が午後3時頃だと思うから、6時までの3時間があれば概ね先は見えている頃だろう。

 .....やはり私は三文ドラマの脚本家でした。結末が支離滅裂でした。  つまり.....(;^_^A

 仕事の用事が押しに押して、帰社したのが午後5時ちょっと前。
 あれこれ作業の段取りしてたら残り作業時間1時間少々?!
 しかし、それまで簡単に各部チェックした結果、例の固着した個所はこっちでは問題ないようです。だから実際に作業に入ってしまえば簡単に済んでしまうでしょう...なんて思い込み通りにいかないから人生は楽しい?.....いや、楽しくなくていいから、せめて1回くらいは思い込み通りにいってほしいものです。
 今度は肝心要キャリパーのピストンが固着してしまって.....抜けない。意味ないじゃ〜んと。この時ばかりは全身に鳥肌が立ちました。
 おまけにデッドラインの午後6時にファイナルカウントダウン。
 そして「駅に着いたよ〜」のコールが...。
 とりあえず「片付けるから少し待ってて」と言う。

 もうダメか・・・

 そこで思いついた最後の手段。
 今思えば常套手段であったろうことですが、その時パニック状態の私の頭ではようやく辿り着いたことでした。急がば回れ。
 とまぁ、ここであれこれ詳細を書いていると、ここで力尽きてしまうような気がしますのでとりあえず素通りさせて頂きます。

 そんなわけで、その「最後の手段」によって無事に関門(固着したピストン無事取り外し)を突破し.....たところでデッドラインを30分ほど過ぎていました。そのイベントの入場最終時間は午後8時。
 とにかくここはこのまま放ったらかしにして、ダッシュで駅に向かおう。間に合わなかったらそれこそことだ...。冷や汗たらたらで家族と合流しそのままイベント会場へと向かったのでした。

 そんな家族サービス=自分で自分の(以下省略)「その2」を全うし帰宅したときには既に『レース当日』になっていました。
 で、例のキャリパーはどないなったか?
 はい、ご想像通り”そのまんま”でした。
 正直、泣けてきました。
 おまけに、睡魔も襲ってきました。
 ここで例え2時間くらいでも寝ておいた方が良いものだろうか?いやいや、ここで寝てしまっては間違いなく寝過ごしてしまうに違いない。しかし...。いやいや...。でも...。だめだめ...。深夜の思考回路は日中通常の1/2以下になるようで、そんな自己問答しているうちに午前3時に限りなく近づいてしまいました。
 ダメだ、このまま現地へ入っちゃおう。
 そこで少し仮眠して...。例え寝過ぎても誰かがきっと起こしてくれるはず。

 こうしてまさにドタバタの土曜日からの延長戦でそのまま不眠で乗り込むハメになった私。せめてもの救いが、今回私はレースで走らない...それだけでした。しかし全てが終わったあとの緊張の糸が切れたときがことの他怖かったです。

 さてさて、長い前振りで大変失礼致しました。
 今回はそんな事前の自ら巻いた種によるドタバタ劇から触れなければ全てを語り尽くせない、そんな思いから思いっきり回り道してみました。

 てなところで、冒頭へと続くわけです。

 パドック内でピクニックテーブルの上には美味しそうなお弁当.....ではなくて、前日作業がカットアウトされたまんまの各パーツ群が並べられていて、私はそれらをせっせとクリーンナップ。
 なんとなく先程よりも東の空に精気が戻ってきたような感じがします。
 鼻水ずるずる.....あぁ、孤独だなぁ〜、なんて思っていると、そこへ「名古屋ナンバー」の”事務煮”が。徹夜の供...もとい、前回に引き続き今回も遥々名古屋から応援に「お犬さま」がやってきました。
 あぁ、もう孤独じゃないんだ。
 でも、男じゃヤダな、ムサイな。
 おまけにやって来ようが来なかろうが、寒い。
 なんてことはどうでもいいのですが、とりあえず一人より二人ってことで。
 そして続けざまに今度は「シゲ吉監督」がやってきました。とはいえ今回は監督ではなくてライダーさん、乗り手での参加です。あれれ?監督がライダーさんってことは誰が監督するの?!.....ってボケは時間の無駄なのでやめておきましょうか。で、だれ?

 今までの静寂がにわかに騒々しくなってきました。と同時に、空も急に活気付いてきた感じがします。東の空から訪れた”今日”が、徐々に空全体に広がっていきます。海の方角、何も障害物がない水平方向からの朝日。そこにこれから闘いが繰り広げられるであろうまさに戦場がシルエットで浮かび上がっています。
 しかし、まだまだそんな空気などどこへやら?嵐の前の静けさのよう。穏やかで温かい陽射しにしばし心を委ねて.....いる場合ではありません。寝てしまうではないですか。せめてコレが終わるまで.....。欲しがりません終わるまで。

 しこしこやっているところへあれやこれや続々とうちらの関係者やら他のエントラントの人達がやってきました。とはいえ、前回7月ほどの勢いではないようです。8時前の時点で、パドック内の人口はほとんどはうちらで占められている感じがしました。

 急に賑やかになってきたそんな中で、私は相変わらずシコシコやってましたが、恐らく8時前にはパーツ単体の作業を終わらせ、マシンへの取り付けを行ないました。とにかく他人のマシン、ましてや最重要パーツ=ブレーキですからね、間違いがあったじゃ済まされません。寝ぼけた頭での作業だけに動作が流れないように一つ一つ指差し確認(笑)しながら装着していきました。でもそのあとのブレーキフルード入れてのエア抜き作業からはチームの人達にお任せしちゃいましたけどね。
 もうそのあたりでは舟漕ぎ出しちゃいまして、自分の車へ潜りこみ、しばしの就寝を.......と思ったらすぐに「シゲ吉監督改めライダーさん」に起こされ...もう寝られんじゃんよ〜。結局眠る事ままならずそのままこの日を過ごすことを決意したのでした。しかしこの後、こんな眠気もぶっ飛ぶような...この私自身も直接大いに関わってきた場所なだけにかなりの衝撃に愕然とするような出来事が...coming soon。

 午前8時を境に急激にあたりが活気付いてきました。
 うちら身内のメンツも揃いつつあり〜の、他のエントラントもガヤガヤ作業始め〜の。ほんの数台だったトランポもいつの間にやら増殖し、ほとんど満杯状態になりましたパドック内。
 午前9時少し前からレースへのエントリー受け付けが始まりました。うちらのライダーさんも誓約書を書き書き、金払ってポンっ。ここまできたらジタバタしても始まらない。いよいよボルテージのレベルもうなぎ上りです。
 レースのエントラントの為の専有走行が10時から始まります。あ、勿論コレ有料ですけどね(笑)。それに向けて2台のマシン、シゲチビ号と魔ッハ号のセットアップも佳境に入りました。各部細々チェックに余念がありません。

 時間になりました。いよいよ午前の練習走行開始です。
 しかし、レースで実際に走るフルコースをこの練習走行枠では使えず、言わば反面のみ使用という主催者側の都合もあり、となると狭いコース内で台数が台数の為15分づつカテゴリー別に区分けして交互交互の走行となりました。うちらのマシン2台を3名づつ代わる代わる走行していきます。
 狭いコース内に溢れ出んばかりのマシン群。その中にあってうちらのチーム内でのベストラップはさすがのエース、ぴらっちが26秒6。これがどれだけ早いタイムなのか。例えばこの私がもがいてもがいてようやくこの間27秒台に突入でき、最終的にはようやく27秒19までには到達できたものの、そこから更にコンマ59も上を行くのですよ。
 コンマいくつとか、なんとも現実味のない世界ではありますが、とにかく言えることは「速い」ってことです。そんなわけで、これは本戦は「爆弾」が炸裂しない限りかなりのところまでいけるのでは?と期待は膨らむばかりなり。「爆弾」とはなんぞや?それはまた後ほどに...(笑)
 さてさてその他うちらのライダーさんたちも、今まで頑張って練習してきた成果はちゃんと出ている模様です。一発の速さこそなりは潜めていますが、コンスタントに耐久レース的な仕様に仕上っているようです。つまりみんな揃って大いに期待できるところです。

 さて、各ライダー代わる代わるマシンに跨り、本番最後の調整を進めていましたが、ピットに入ってきたゼッケン#3の2号車のフロントブレーキ周辺を何気に見ていたダサMacがいきなり突拍子もない声を上げました。

 「ぶ、ぶれーきぱっとが片方なくなってるーっ?!」

 一同「?????????」

 そこにいた誰もが一体なんのことだかさっぱり理解に苦しむその台詞。
 みんな慌ててマシンを取り囲む。
 怖々とフロントブレーキの周りを注視する。
 するってぇ〜と・・・・・

 本来なくてはならないところのパットが見当たらず、キャリパー本体が直接ディスクに接している。
 そう・・・

 ・・・本当に片方のブレーキパットが見当たらない。

 いや、パットピンで止まっているはずだから、走行中に落ちるってことはあり得ないはず・・・?!それでも確かに見当たらない。

 もしや?!!!

 あった。見付けた。

 ・・・で、なんでやねん・・・(-_-;)

 そう、パット、あるにはあったのです。見付けたのです。
 しかも、2枚のパットが、ディスクを介在することなくパット同士仲良さそうにピタッと寄り添って・・・

 そうです、そうなんです。
 つまり、取り付けの際、”パット=ディスク=パット”とパットの間にディスクを分け入れて装着するのが今更言うまでもなく常識な訳ですね。それがどういうわけか、パット=パット=ディスク=キャリパー本体・・・なんてのは考えただけでスゴイことですね(笑)。
 そんなわけで、ここで整理すると・・・その練習走行枠で走行中、ブレーキディスクを食い止めていたのは何を隠そう...キャリパー本体とブレーキパットの裏側のベース部分ということになります。はい、そんなわけでその結果の状態がどんなことになっているのかは誰もが想像する通りのことでございます。
 金属のディスクをパットのベース部の金属とキャリパー本体の金属で挟んだ結果は、見事ガリガリガリ☆傷だらけのディスクのできあがりですわ。

 そしてその信じ難くも突き付けられた現実としての光景を目の当たりにした私は、自分の顔から血の気が引いていくのを本当に感じました。頭が真っ白になるのと同時に「?????????・・・」延々エンドレスに連なっていきました。
 「な、な、なぜだ???キャリパーO/Hして私自身が組み付けて、、、あんなに確認しながら作業したのに・・・」そんな私の心の叫びなど誰にも届くわけもなく、しかし揺るぎ無い現実として受け止めて、今はとにかくすばやく対処をし、続く練習走行そして3時間長丁場のレースを続けなくてはならないのです。
 せっかくこの日この時のためにあれこれ準備してきた3軍の人達に申し訳ないことをしてしまった...。せっかくのレースを台無しにしてしまった。そんな思いで一杯になったのと同時に、ブレーキがこんな状態のままレーシングスピードでコース内をライダーさん達に走らせてしまっていたことに顔面蒼白、もしブレーキが焼き付き、ロックしたならば・・・そのとき手が震えていたのを覚えています。こりゃもう「土下座」して謝るしかない、と。
 ただ、その現実は現実として、ただ私の心の中では相変わらず「?????」が渦巻いていました。そんなはずは・・・と。

 そんなとき、誰かの発した言葉と同時に、そういえば・・・

 そう、練習走行開始前、私はどうも自分の手掛けた個所、Fブレーキのタッチが気になって、フロントスタンドに掛けられている2号車の前輪をくるくると手で回していました。前輪の回転がどうもところどころで引っ掛かるような?と私が指摘したら、どうやら以前からの歪んだディスクのまんまだそうで、急遽シゲチビ号のスペアディスクを借りて交換作業を始め...てました、みんなでよってたかって(笑)。

 はは〜ん。なるほど、そのときか・・・な。

 そう思った瞬間、身体中のガッチンガッチンだった力が一気に抜けました。と同時に「よかった〜〜〜」.....って、ちっとも良くないのですが、とりあえず自分の努力を自らの手で泥塗ることなく済んで安堵しました。
 ただ、それはそれとして地団駄も踏みました。
 スペアディスクと交換して、作業後の前輪を私自身がカラカラと手で回してみたんです。
 「ほよよ〜、よく回るよく回る♪やっぱ全然違うよね〜」...って、おいっ!そのときにキャリパー内の非常事態に気付かなかったのが悔やまれてなりませんでした。
 「なんだよ〜、自分の手でタイヤ回しておいて、異変に気づかなかったんかー?!」そうなんですよね、なんかすっごく回る気がしたんですけどね。まさか、と。

 そんなわけで、これがこの日一発目の、寝る子も目覚める大事件でした。

 とにかく現状ではもうスペアはないわけで、きちんと組み直しても尚、ディスクのガリガリ傷はそのままの状態ではありますが、これで行くしかないわけです。行けるところまで行くしかないのです。ブレーキ性能にかなりの不安要素が残りますが、3軍の人達も腹は括ったことでしょう。

 こんなことをしていたら、そのドタバタのうちにライダー・クルー全員集めてレース説明などのブリーフィングが行なわれ、そしてあれよあれよとレーススケジュールは進行していきました。
 そう、次はいよいよ本格始動.....「予選」です。

 まぁ、予選といってもあくまでもグリッド決めの為のもので、予選落ちなどはありません。ただ、なにせ30数台もの台数が一斉に走り出すわけですから、少しでも前の方からスタートしたいのが人情というものです。だからみんな頑張っちゃうんですよね。
 前回7月のレースの時はポールが30秒台。ちなみに初参加のうちらのチームでは私が走らせてもらい、33秒台。クラス7位、総合...つまりグリッド順では13位でした。しかしその日は思いっきりレイン。ちなみにこの日はこの時期としてはあちちのピーカン。当然タイムもあがりまくりな予感?!
 そんなわけで詳しいデータは忘れてしまいましたが、ポールは確か28秒台でした。そしてうちらの1号車が29秒台でクラス3位、総合7位で予選を終えました。スンマソン、2号車は・・・ノーチェックでした(謝)但し、とりあえず懸念されていたブレーキの危機はなんとかなりそうな気配。まずはホッと胸を撫で下ろし〜の。

 さてここで、今回の「RTサーキットのくらげJr」の布陣はというと。。。

 ゼッケン#2、1号車のスタートライダーはエース・ぴらっち。またの名を”ちょんが〜・レッド”近々殉職予定?
 第2ライダーは、前回は見守る人、で、今回は走る人、ご存知シゲ吉総監督殿...の中の人、みこやん。またの名を”ちょんが〜・イエロー”
 チェッカーライダーは、前回チーフメカさん、今回も相変わらずチーフメカさんのまーべりっく。またの名を”ちょんが〜・ブラック”
 「我ら、独り身戦隊・ちょんが〜スリー!!!」...ヾ(・・;)ォィォィ

 続いてゼッケン#3、2号車のスタートライダーは、独りでマシン調達から始めてサーキット走行できるまで育て上げた功労者のじっぴ〜さん。
 第2ライダーは、ご自身の自宅引っ越しやらでそれだけで既に心身ともに焼失してしまっているであろうRIDER_555さん。
 そしてチェッカーライダーは、魔の3軍結成に伴い、魔界より召還されたDigit_kappaさん。
 そうですね、チームの特徴としては「サーキットOB’s」というじっぴ〜さん談。以上が一生懸命走ってくれる人達。

 手弁当によるヘルパー募集に賛同してくれた人達。
 あい♂ちゃん、ダサMac、びっとまん、他みなさまThanks!
 2号車は、殿さまが計時とボード出し、給油など担当。
 1号車は、びっとまんにボード出しを頼み、私が計時に給油に双方のメカ担当。
 以上が、ま、てきと〜に手助けしてやる人達(^_^;)\('_') マテイ!
 あとの人には、よってたかっていろいろアレコレして下さいと。
 それから強力なるギャラリーがテンコ盛り。おまけに生まれたての姫さままでもが迷惑そうに応援していました。もうね、なにがなんだか状態だったのでいちいち紹介は割愛させて頂きやす。ま、相変わらず賑やかな集団となりました。

 何度世話になったかわからない隣接する某マックで、どなたかがハンバーガーセットをまとめ買いしてきてくれていて、みんなでササッと昼飯。そこはもう早い者勝ちってことで、あらら?オレの分のハンバーガーがなひ・・・(汗)...なんて声も聞こえたりして(笑)。
 最後の予選のグループがそろそろ終了となる頃、その光景をぼんやり見ながら傍らでポテトをパクついていた私は、「あっ・・・」

 ・・・マシン1号車にガソリン入れるの忘れてた・・・

 慌てて混合ガス作り始めると、「予選順位順にグリッドにマシンを並べていって下さい」なる非情なアナウンスが。
 いやはや、焦る焦る。
 焦ったところで混合比間違えてはそれこそどえりゃ〜ことになるので、焦りながらもそこは慎重に作業していきました。

 「びっとま〜ん、オイルメスシリンダーにココの目盛りまで入れて!」
 .....アタフタアタフタ(((^^;)(;^^) )).....
 「...びっとま〜ん、それ、倍以上入れすぎっ(笑)」

 4リッター作って入れて、タンク内まだまだ入りそう。でもとりあえずマシンをグリッドへ持っていってもらう。
 追加3リッター、作って追加分は全部で7リッター。たぶんこれで満タン。

 「よっしゃっ、これ持っていってマシンに給油してきてくんろっ」

 びっとまんにジョッキを託し、後片付けしてひとまず一安心。
 ふぅ〜、やばかったやばかった。大ボケかますところでした(-。-;)
 ちなみに魔ッハ号には勿論ちゃんとガスは入れられていたのは言うまでもありません。
 そんなあたふたしたものの、やはり30数台ものマシンを予選順に点呼しながら並べていくのでかなりの時間を要しまして、そんな焦ることもなかったろ〜に、と。お疲れさん。

 徐々に「その時」が近づいてくるに連れて、否応なく緊張感が高まっていきます。これだけの台数、ちゃんとスタート切れるかな、他車と絡まず行けるかな...見ている方が不安バリバリです。
 シゲチビ号は果敢に予選を闘い先頭より7番目の好位置。ちょいとブレーキのトラブルでドタバタしたもののとりあえず無事に予選をこなした魔ッハ号は後から...何番目だっただろう?最終コーナー近辺だったので、スタートの時点でかなりのハンデです。とはいえ、全ての裁定は3時間先のゴールの時点で下されるのです。今はとにかく無事にスタートを切ることを心掛けるのです。