今世紀ファイナル ロング ソロ・ツー
目指せ、明日香の里!
written by じぇんとるまん

1.プロローグ

 「しまった!寝過ごしちまったぁ〜〜〜っ!!!」
10月7日の午後10時過ぎ、慌てて飛び起きる。
 本当ならば仕事が終わったらそのまま出発するはずだったのに、部屋に戻ったのはもう夕方を過ぎてもう暗くなっていた。夜中の2時過ぎから15時間近くも働いているのでこんなヘロヘロ状態で出発したら間違いなくどっかで事故ってしまうに違いない。命あってのツーリングだし一眠りしてから出発しよう、のつもりが二眠りしてしまったのである・・・。

 「そういや今日は飲んだくれてる連中がいるんだったっけ。」 支度も整ったことだし、挨拶がてらに顔を出してこよう。 つーことで、相棒のXJR1200に荷物を積みこんで完全防寒仕様で部屋を出る。
 新宿にいた例の連中はあいかわらずのハイテンション。見ていると自分も一杯くらい引っかけたくなってきたが、今日は我慢我慢。 「関西のうどんをお土産に!」という2人から餞別をもらい、再びバイクにキーを差し込む。
 仲間に見送られて夜の新宿を出発。さあ、久々のソロツーの始まりだ。さて、どの道から明日香に向かおうか?何も慌てなくてもいいじゃないか、時間はたっぷりあるんだ。楽しい旅にしような、相棒。

2.最悪、ここでツーリング終了か!?
 自分と相棒は夜のR20を西に向かって走っている。所々で工事をしているおかげで思っている以上に距離が進めないが今に限ってはノープロブレム。たまにはのんびり走ってみるのも悪くはない。
 大月のコンビニで一休みをする。時間はちょうど2時、ちょっと時間がかかり過ぎているがまぁ余裕をもって旅をしよう。さらに西へ向かって。
 笹子トンネルくらいはトバしてみようか、勝沼バイパスもイイ感じに流せる。しかし、そんな快適クルージングは甲府市内直前で終了する・・・。 なんでこんなに渋滞している? 嫌な予感がするがもうチンタラ走る気はない、すり抜け開始だ。 うるさいバイクがアクセル吹かしながらチンタラやっていやがった。少なくとも70台はいるようだ。 近所迷惑だぜ・・・、ちったぁ楽しいツーリングやってるヤツのことも考えてくれよ・・・。 しかし何か雰囲気がおかしい、囲まれているようなそんな感じがするのは何故だ? すると隣りを走っていた車の窓が開いて遊び人みたいな女が前に向かって何事か叫んでいる。 「なんだ、コイツらは???」 信号が赤になった。その交差点に20台くらいのバイクが止まっている。 あぁ、ウザったい連中がいやがるなぁ、さっさと先に行きゃいいのによぉ・・・。 しかし赤信号なのに先に進んで行くのは同じ車線を走っていた車だった。 「?????・・・・・・・・・・!!!」 そう、この車の列もあのバイク達の仲間だったのである。 さっき俺もすり抜けしながら煽っちまった、こりゃあヤバいゾ・・・。 連中はよく見りゃ木刀や鉄パイプらしきモノを持っている。 いきなりあんなんでひっぱたかれたらいくら俺でもたまらない。 ましてこっちは1人だし相手はどれくらいいるのか見当もつかない。 信号が青になるとさっさと連中からおさらばした。 しかしよく道がわからない。どこをどう走ったかまるでわからないが、 再び甲府バイパスに戻ってきた。時間はもう3時を過ぎている。 いくらなんでもここまでチンタラやっているわけにはいかない。 俺の目的地は遥か先の明日香の里なのだ。 ちょうど甲府昭和I.C.が見えてきた。こんな所で中央道には入りたくなかったが、こうとなってしまったら仕方がないだろう。さぁ、気を取りなおしてナイトランだ。
3.深夜の高速走行編
 ふう、高速に入ればあんな連中はいないだろう。 しかし余計な時間をくってしまった。少々ペースをあげてみるか・・・。
 諏訪湖SAに着くまで30分とかからなかった、さすが中央道!こんな時間では例の温泉は開いていないがとりあえず一息入れておく。気がついたら4時を回っていた、じゃあまた先を急ぐか・・・。あ、ガソリンも入れとかないと途中でヤバいかも、で、給油も完了。
 深夜の高速はトラックが多い。ゆっくり走っているのもあればトバすのもいる。トバしているのは大抵空荷の連中だ、だがそれでも俺のほうがまだ速い。 平均ぬうわkm/hくらいでも夜は走るのに神経を遣うし、なかなか寒いものだ。
 途中の阿智でコーヒーを飲んで目薬を点してまた走り始める。東の空が少しずつ明るくなってきた、それでも奈良はまだまだ先だ。中央道から名神道に入って6時過ぎに養老SAに到着。朝日に向かって背伸びをすると気持ちがいいが、チトお尻が痛い。
 もう少し先の多賀SAで風呂に入ろう♪そんなことを思っていたのだが、 その後ヘロヘロになって走りたくなくなりそうなので顔を洗い、コンタクトを装着。7時ちょい過ぎに八日市I.C.から下道に出ていよいよ近畿走行が始まる。
4.恐るべし、関西のばーさん!
 「さぁて、どうやって奈良へ向かおうか?」
八日市で高速を降りた理由は下道が恋しくなっただけのことである。 ルートは考えちゃいなかったが、方向さえ間違えなければいずれ明日香に着くさ。ただ、ガソリン残量が心許なくなってきているのでまずはスタンドを探そう。
 R307を水口町に向かってみる。のどかな風景の中をXJRは快調に駆け抜ける。R1との立体交差付近にならスタンドがあるだろう、そう思っていたのに無い。いや、あってもまだ開いていないのである。リザーブにはまだ切り替えていないが、見知らぬ場所では早めに対処しておきたい。これを怠って油断するとどうなるか、それは北海道で体験済みの俺である。しかしいくらなんでもこの辺りであんなメには遭わないだろう、そう思っているとようやくスタンドが出てきてホッと一安心。リッター98円だった。
 そのまま進んで行くと「紫香楽宮跡」の文字が出てきた。せっかくだからちょいと立ち寄って見てみよう。・・・・・・何もない!(笑)いやいや、こ〜いう史跡こそ近畿に来た!と思える関東人の俺。よし、それじゃあまずは室生寺を目指して走ってみよう。
R307からR422にチェンジして上野に向かうが・・・どっかで外れたらしい。ここはどこだ?と思いながら走っていると前方に高速道路らしき道が見えてきた。看板を見るとこれこそが「名阪国道」であることが判明し、さっそく走ってみる。う〜ん快適快適♪でもみんな意外とペースが遅いのにはちょっとしたオドロキであった。
 パァーッと名阪国道を飛ばして「針」なるところから室生寺に向かう。以前写真で見た感じの寺と違う・・・もっと静かな所だと思っていたのに・・・。こんなに観光地化されているとは思わなかったが、一度は来てみたかった所である。おぉ、これが台風でやられたという五重塔か!おや?さらに奥の院があるらしい。ちょっと疲れているから行かなくても・・・と思ったその時である。
 孫らしき子供を抱っこしたまま階段を登って行くばーさんがいるじゃないか!あんなばーさんが登ってて俺みたいな若いヤツが行かないでどーする!
 えっちらおっちら登ってきましたよ、防寒装備のまんまの格好で。汗が止まらないし膝はガクガクしてくるわで日頃の運動不足を露呈してしまった。ところが我がライバルだった、例のばーさんは途中休み休みしながらも最後まで孫を抱いたまま奥の院まで見事に登りきったのでありました。
 ちなみに・・・私は奥の院でしばらく死んでおりました。(爆)
5.シトシトピッチャンシトピッチャン・・・(涙)
 かなりの体力を消耗したがまだ余力はある。R165で長谷寺に向かった。 本堂ではなにやらやっていたがこれがなんなのかは解からなかった。お腹も空いてきたので寺の前の土産屋に入って葛切を食べる。う〜ん、黒蜜がとっても甘い!しかしこれで復活したのでいよいよ明日香へ。ありゃ、今にも雨が降ってきそうな感じがするぞ・・・そんなのってありかよぉ!しかしここまで来て後戻りはできない、前進あるのみ!!!
 R165から離れていよいよ明日香へ入る。しかしバイクって走っていないねぇ〜。まずは石舞台古墳へ行ってみることに。
 おっと、うっかり休日二輪通行禁止の道に入ってしまったが見つからなきゃいいさ。途中にあった岡寺にちょろっと立ち寄って、丘を下ったところに石舞台があった。ここにきて大粒の雨が降って来始めたが見るべきものは見ておく。ところで、あそこの石って登っちゃいけなかったそうで・・・!?(謎爆)
 しばらく雨宿りをしていたらやや小降りになってきたので飛鳥寺に向かう。 観光客が多い中、場違いないでたちの俺は注目を浴びて気恥ずかしいが、やはりここでもじっくりと見るべきものを見させてもらった。
 偶然、近くに牧場のアイスがあるという情報を得てさっそく探してみる。 ソフトクリームもあるだろう、と期待していたのだがやっていないと言う。 ひねくれ者の俺はアイスにせず、ヨーグルトを味わうことにした。なかなか美味かったですゾ。
 空を見るといつまた降ってきてもおかしくない様子なので一度ホテルに戻ることに。部屋に入ってベッドに寝転んだら次に意識を取り戻したのは翌日の朝方であった。前日まともに寝ていなくてこれだけ走ったんだから爆睡もするわなぁ。

つーことで、初日の総走行距離・・・・・706.2km

5.5 参考に・・・

奈良県内のガソリン価格は平均106円!!!
滋賀県内のガソリン価格は平均98円。
三重県内のガソリン価格は平均95円でした。
あくまでも自分が見た限りですがね。
6.ツーリングに来たんじゃ・・・???
 朝起きて部屋のカーテンを開けると雨が降っていた・・・。
せっかくのツーリングだというのに、こんな仕打ちはないんでないかい!?しかししばらく雨が止む気配はないのでふて寝を決め込むことに。(苦笑)再び起きたのは9時過ぎのこと、今度は雨が上がっていた。
 そそくさと荷物をバイクに積んで再び明日香に向かって出発する。途中にあったローソンで「ごんぶとうどん・きつね」の西日本バージョンを箱で買って宅急便で家に送っておく。これも今回のツーリングの目的の1つであって、東日本バージョンと西日本バージョンのうどんの食べ比べをさせてやらなければならないという任務(?)を帯びていたのである。
 ちなみに自分は絶対に西日本モノの方がうまい!と思っている。東京でも西バージョンのごんぶとを売っている所はないだろうか???知っている方がいらっしゃったら、是非教えてください。。。<(__)>
 しかし何故にこんなに奈良の人達は走るペースが遅い?
 それとも自分のほうがおかしいのだろうか??
焦ったってしょうがないのだがついついすり抜けをしてしまうのであった・・・。
まずは昨日行かなかったキトラ古墳へ・・・あれ?よく道がわからん・・・。 なんか細っこい道を走ったりしてキトラ古墳の所に着いたのだが何もない・・・。仕方がないので今走ってきた道を戻って今度は高松塚古墳へ。
 古代米ソフトなるものを発見し、早速食べてみる。ウムム、こいつは甘い!でも疲れた身体にはイイかもしれない。ちなみに黒米・赤米・緑米(だったと思う)の3種類があったので是非お試しあれ。
 ここからはしばらくバイクを降りてこの高松塚古墳や近くの文武天皇陵などを歩いて回ってみた。さすがにジャケットを着ては歩けないのでコイツはバイクとちょっと留守番。ウダウダと歩く観光客の軍団に身を投じてみるのも悪くはない。
 さて、帰りの時間のことを考えると飛鳥資料館を見て時間切れになりそうだ。 というわけで、資料館に移動することにした。
 古代の歴史が好きな人にはなかなか面白いところなんじゃないでしょうか? 複製や写真での展示が多かったのはいただけなかったですが。なんやかんやでいろいろとお勉強をしていたら結構時間が経ってしまった。
 さぁ、東京に帰るとしよう。
7.また来るその日まで・・・
 今回は飛鳥を走るはずだったのに実際には走った!と言うほど走ってはいない。天気が良くなかったのと、のどかな田園風景が繰り広げられる中を歩いてみたくなったからだ。それはそれでよかったし、自分自身が満足している。ただ、時間がなかったのだけが悔やまれてならない。まぁ、これで2度と来ないわけではない。次回の楽しみにすればいいことである。
 青空の見える明日香の地を自分と相棒は東京に向けて走り始めた。
さて、どんなルートで帰ろうか?天理に向かってすぐに名阪国道に入るのも芸がないのでR165で名張方面に。昨日訪れた室生寺の入口を過ぎて単調に続く道を進む。このまま行けば久居から高速に乗ることになるが、少しでも出費は抑えたいので名張からR368で上野市に向かって名阪国道に入ってみよう。
 上野から名阪国道に入ったのがちょうど3時。前方の鈴鹿山脈には妖しげな雨雲が見えている。ええい、このまま走っちまえ!と、スロットルを緩めずに突き進む・・・。路面が濡れ始めた。おまけに寒い。しかし一度止まってしまうのが不思議に怖い。そのまま東名阪道に入って四日市まで走ったら雨は完全に上がった。車の台数も多くなってきている、スピードが思った以上に出せないが進むしかない。名古屋の外側をぐるっと回って東名の名古屋I.C.に入ったのは4時を過ぎていた。ますます交通量が増えて自分のペースで走ることができない。しかも疲労が溜まっている。こんな時は無理はしない、ペースダウンをして車の流れにまかせることにした。
 上郷S.A.を過ぎた辺りでそろそろリザーブに切り替えだな、と思ってコックに手を伸ばした時に「しまった!」
リザーブになったままだったのである。たった今S.A.は過ぎたばかりだ。次のスタンドは浜名湖までない。となれば、ここから先は燃費走行せざるを得ない。
 ストレスが溜まり疲労も増えるが自分の不注意から招いたことだ。ギリギリのところで浜名湖S.A.でガスチャージ、これで一安心だ。再び路上へ。かなり暗くなってきてはいるが、まだ静岡県に入ったばかりだ。先は長い。静岡までが思った以上に距離があり、日本坂トンネルを抜けた頃にはヘロヘロ状態になっていた。
 そんな状態でも結局は富士川S.A.まで休み無しで走ってしまったのは何故? 約1時間ここでのんびりして7時半に再びエンジン始動。ラストスパート!・・・と行きたいところだがやはり無理はしないでおこう。
 ここまできて最後に事故ったりでもしたら悔やんでも悔やみきれない。いよいよ3車線になりペースアップ!だが霧が濃くてすぐにペースダウン・・・。 しばらく走っていると前方の車がハザードランプをつけている。 休日恒例の東名横浜までの渋滞が始まったようだ、すり抜けスタート。
 伊勢原付近からだから25kmくらいは並んでいそうだが覚悟していたほど長い渋滞ではない。東京料金所を通過したのが8時半ちょっと前、9時頃には部屋に戻れそうだ。そのまま首都高速に入って46時間ぶりに銀座の街の灯りを見ながら9時ジャストにXJRは静かにエンジン停止。
 往復ちょうど1300kmのソロツーは無事に終了した。
8.さて、今度は?
 「やれるうちにやっておけ!」だからこそ今、ソロツーをしたかった。
もしもこのまま結婚してしまったらどれだけ自由な時間が持てるか?体力のあるうちに、時間のあるうちにやっておかなければきっと後悔する。そう思って今回のツーリングを敢行してみました。
 もちろん、これで最後になる訳ではありません。行ってみたい所は腐るほどあります。北海道も九州にも、その他にもたくさん!
 マスツーもいいけれど、長距離になるとどうしてもそれは厳しくなってくる。 そもそもマスツーとソロツーはまるで別モノだ、と自分は認識しています。 それぞれの楽しみ方もルールもありますからね。ただ、他人様に迷惑をかけずに楽しくバイクに乗る、ということは変わらない。非日常に触れることで自分を磨き、リフレッシュされ、それが何よりも楽しい。だからずっとバイクには乗り続けていきたい。自分が50歳になった時もGパン履いてバイクに跨っていたい、と思う。そしてそれが様になっているオヤジになりたい、でも・・・なれるかなぁ?(笑)

 ロングソロツーに出られる機会は当分の間、なさそうです。(お許しがでない?)
しばらくはマスツーか、近所での使用に限られるみたい・・・。ツーリング等で御一緒するその時はよろしくお願いしますね。そしてそれぞれのバイクライフを楽しみましょう!





お・し・ま・い!

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