ここからのデフォルト・ルートは、高山市街を再び抜け、R361を「木曽福島」方面へと踏み入り「野麦峠」または「地蔵峠」を越え「権兵衛峠」に分け入り、「中央道・伊那IC」をスルーし、「諏訪IC」から中央道入りの当初の予定。まぁこれはちょっと欲張りルートなのだが。
血気盛んにも白川郷を発つ時、天空から叩き落されているこの雨降りという現状を顧みず、とにかくこの計画は実行されなければ単なる「大風呂敷」であったと見なされてしまう事を懸念し・・・というよりも自分自身に対しての意地だったのかもしれない・・・いや、意地以外の何ものでもないであろう・・・任務遂行あるのみー!で、「雨降り」「空腹」「疲労」「寒さ」「睡魔」・・・一体全体このツーリングって楽しいのか?!いや、今の自分の置かれている状況というのは世間一般から見れば決して楽しいという範疇には入らないと思うんだよなぁ…。ブツブツいろいろな事を考えながら気を紛らわしてひたすら走り続けた。ここまできたらそうする他しかたがない。自分自身の事、他のメンバーの事を案じながらこの局面を乗り切ろう。人生山あり谷あり・・・人生ゲームかってーのっ
R41をひたすらに高山市街へ戻っていく途中、今思うと見てはいけないものを見てしまった。しかしその時の自分らにとってのそれは、まるで”天使様”であったようだ。
『平湯・松本方面 左折←』
。。。それは「三川」から左折県89を進み、平湯経由松本へのショートカット道。
心が揺れた。
大いに揺れた。
早朝...もとい、深夜からの走り尽くめ、疲労困憊、この悪天候、それからなによりも時間経過(恐らくこの時点でPM3時前)、云々。このまま意固地になって自らの意思を貫き通したところで、その先に待っているものはもしかしたら取り返しのつかないものかもしれない、そう思うようになった...もとい、そう思うようにした。その案内表示板前の信号待ちの時、隣に並んでいる[かず♪]さんにそれとなく尋ねた。どうやら[かず♪]さんもそのように思ってくれていた。とりあえずその信号を「左折」し、路肩に停車し、ルートの確認をした。やはり帰路の事を考えるに、その「左折」は実行されるべきだった・・・。
かくして当初の「無謀計画」は起動修正され、「安全」が選択されたのだった。とはいうものの、その状況を鑑みるに、決して「安全」ではないよなぁ…。
県89は、往路でのR158に合流する。そのままR158を「平湯・松本」方面へ進む。 やはり今現在、最大の敵は・・・「睡魔」。眠気覚ましのヘルメットの中は大カラオケ大会♪歌えや踊れ〜♪
アリャリャ\(^o\) (/o^)/コリャリャ
・・・こうでもしていないと、睡魔に負けてしまってどうもスイマせん(寒っ)・・・なんてことになったら洒落にならない(オヤジギャグにはなるが…)。ひたすらにエンドレスで歌いつづけなければ・・・!歌詞に詰まったり、途切れたりすると・・・(-.-)Zzz.。o○ あっ、いかんいかん・・・。自分がこうだということは、みんなも恐らくそうであろう。ここは急いで休憩地点を見つけよう。
「平湯」のGSにとりあえず給油の為のピットイン。
その際、何気に見上げた”乗鞍スカイライン”の[道路情報案内]の電光掲示板が目に入った。またしても目に入ってしまったんだなァこれが。
[積雪・通行止め]
ふぅ〜〜〜ん、そういえばさっきそこを通ったんだよなぁ〜オレらって・・・
えーいっ!いちいち驚いてられるかーっ!
ヤケである事に間違いはない・・・
そこのGSからほどなく進んだところの休憩処でかなり遅い昼飯ターイム。恐らくPM3時前後の事だったと思う。夕方に近いその時間帯では食いたいものはほとんどが売り切れ。あぁ、ごはんものは皆無だった。全くもって今回のツーはホントにひもじい・・・。私はうどんをすすり、しばし茫然自失、幽体離脱。他のみんなを見渡すと、その口からはエクトプラズマがぶら下がっていた(ウソぴょ〜ん)
もうこうなると、あとは野となれヤマトナデシコ七変化!(うっ...どうしたんだろぅ...私ってば)、一刻も早い帰還を目指すようになっていた。そいうことから通常一般的に考えると目の前の、旧態然とした険しい山肌をトレースしていく「安房峠」と、それらを直線的にバイパスされている「安房トンネル」という二つの選択肢を考えると、自ずと「安房トンネル」が必然的に導き出されていく結論となるであろう。ところがどっこい、一行は濡れ落ち葉が敷き詰められている、かなり細く曲がりくねった「安房峠」へと敢えて足を踏み入れていったのであった。
それは何故か?!
「温かくて直線道路のトンネル内走行は絶好のお昼寝ターイム!になるから...」
恐らくその頃は雨も小休止であったろう。時間もPM4時は回っていたかもしれない。
夜の帳が下りる前に峠越えをしてしまおう。
濡れ落ち葉に足を取られぬよう気をつけよう。
この苦行がいつしか悟りの境地に・・・・・・ならんな絶対に。
| |
平湯の食事処で束の間のヌクヌク... | そしてまた試練は続く… あの見える標識を右折。安房峠方面へ... |
途中、雨が降ったり止んだりしていたものの、一行はとりあえず無事に「安房峠」を越え、そのまま往路で通ってきたR158を「松本IC」に向けてひた走った。そして「松本IC」より「中央道」へ乗り入れ。次の休憩ポイントを「諏訪湖SA」に定め、今度は往路でのヘマはしないよう注意しながらの走行。
ところどころはやはり渋滞中。雨中の擦り抜けはかなり神経を擦り減らす。時折落ちてくる雨粒がヘルメットのシールドを濡らす。スロー走行になると自ら吐く息が、シールドに目隠しをする。ま、まえが見えん・・・。仕方なしにシールドを開ける。するとほんの少しの雨粒がまるで銀ダマ鉄砲の弾のように強烈に顔を射たれる。そんな攻防戦を繰り広げながらも全員無事に「諏訪湖SA」に辿り着いた。
とりあえずみんな元気そうだ。きっと電球の球が切れる寸前一瞬の明るさ・・・そんなところであろう。
バッテリートラブルを引き摺りながら同行していた[あっち]号も何とかここまで辿り着くことができた。エンジンを切ってしまうとまた人力セルモーターが必要となる為に駐車中もエンジンを切らない。エンジンはカブリ気味。そのうち不用意にアクセルを煽ったら・・・・・・ストール(止まった)・・・ぎょぇぇぇぇぇぇぇぇ
出動!!
ダダダー・・・ハァハァ
ダダダダー・・・ハァハァハァ
ダダダダダー・・・ハァハァハァハァ
・・・明らかに掛かりが悪くなってるよね〜
・・・そろそろバッテリーの残電量も底をつく頃だよね〜
・・・確かにヘッドライトも暗いよな…
・・・ほ〜ら、頑張れ頑張れ![びっとみゃん]!
・・・しっかり押せぇー![ばたやーん]!!
応援団は無責任〜♪
・・・完全になくなる前に行っちゃった方がいいよ〜!
かくしてみんなより一足お先にSAを後にした[あっち]号であった。
無事を祈る!
さぁ我々も先へ進もうか。次なるチェックポイントは「談合坂SA」。
|
えっさほいさのさ〜♪ ・・・なんて悠長なものではなく、みな必死の形相! これが毎回・・・(^_^;;; |
|